ゲノムクリニック

【AEA 2017 Alumni】
近年、DNAを超並列かつ超高速に解析できる次世代シーケンサーの発展により、個人ゲノム解析を一般の方々に現実的な金額で提供できる基盤が整いつつある。また、疾患と遺伝子情報に関するデータベースも充実してきている。これにより、治療法や予防法が存在する疾患に関して、発症前に個人ゲノムを解読してそのリスクに応じた医学的選択を行う、個別化医療が現実味を帯びてきた。家系内に複数名のがんや循環器疾患の発症者がいるため、ご自身に発症のリスクがあるかどうか不安を持つ方は多い。ゲノムクリニックはそんな不安を持つ未発症の方に対して疾患の予防・早期発見を目的として個人ゲノム解析を医療者が提供する「遺伝子の人間ドック」である。
本事業は、予防法があるなどリスクを知るメリットが大きく、疾患の原因となり得る変異は知らされるべきと米国遺伝医学学術団体(American College of Medical Genetics :ACMG)ガイドラインに記載された27疾患59遺伝子を対象に事業を展開している。疾患未発症の一般の方を対象として、次世代シーケンサーを用いた個人ゲノム解析を行い、複数の疾患リスクを評価する試みは日本初だ。さらに、遺伝医療に詳しい医師・遺伝カウンセラーが医療レベルでのゲノム解析とフォローを行う試みも日本初であり挑戦的である。疾患・ゲノム解析に熟知した医師が本事業を運営する。またゲノム解析の結果、疾患リスクが高いと判定された方には引き続いての専門的情報提供が必要なため、非医療者が行う既存の消費者むけ遺伝子検査に対して大きな優位性がある。ゲノムクリニックは今後も個人ゲノム解析の価格破壊と高精度な疾患リスク判定を目指し、解析法の改良、社会的基盤の整備を目指して研究を行っていく。

曽根原 弘樹
代表

Nominated by

Assistant Manager,
TOHOKU University Venture Partners Co., Ltd.
一般の方々に対して、個人のゲノム解析を行い、医療レベルの疾患リスク情報提供を行う取り組みは、健康寿命延伸に資する素晴らしい計画である。次世代シーケンサーの利用、ACMG(アメリカの代表的臨床遺伝学術団体)ガイドラインに記載された27疾患59遺伝子を対象としており、利用者を惑わす、レベルの低い他社の既存ゲノム解析事業とは一線を画す。このような高度な事業を10万円台で提供しようとする全く新しい取り組みを推薦する。